暮らしのこと
非常食の棚を見直す季節
9月になると、台風のニュースを見るたびに非常食の棚を確認します。うちは柳川なので、大きな川もお堀もあって、台風のときはいつも少し身構える土地です。
去年買ったまま賞味期限が近づいている缶詰や、封を切っていない乾パンを見て、正直に思うことがあります。これ、うちの子は食べてくれるだろうか、と。
非常食として売られているものは、普段食べ慣れた味とはどこか違います。子どもに出してみたら、ひと口食べて「これじゃない」という顔をされたことが何度かありました。備えたつもりが、いざというときに食べてもらえないのでは意味がありません。
それで最近は、いわゆる非常食専用のものだけに頼らず、普段の食事でも使う乾麺やレトルト、缶詰を少し多めに買っておくようにしています。ローリングストックという言葉を知ったのはグリーンコープの活動を通じてでした。古いものから普段の食事で使い、減った分を買い足すだけ。特別なものを新しく揃えなくても、いつもの食材を少し多めにしておくだけで備えになるという考え方です。
料理が得意ではない私にとって、これはありがたい仕組みでもあります。特別な非常食セットを一から揃えるのはハードルが高くても、いつも買っているものを一つ多く買う、というだけならすぐに始められます。中身が見えるように棚に並べ替えて、賞味期限が近いものから手前に置く。それだけで、台風が来るたびにバタバタ買い出しに走ることが少し減りました。
子どもが食べ慣れた味であることは、備えの中でも案外見落とされがちな条件だと思います。栄養が足りているかどうかの前に、まず口に入れてもらえるかどうか。うちの子たちの好みを一番知っているのは、結局のところ家族なんだと、棚を見直すたびに思います。
お店を始めたら、こういう「普段も使えて、いざというときにも安心できるもの」も少しずつ置いていきたいと考えています。まだ形にはなっていませんが、9月のこの季節になると、いつもそのことを思い出します。
この記事を書いた人
石本 由貴natural select shop こけもも 店主
福岡県柳川市で、自然食品店「こけもも」の開業を準備しています。
元・歯科衛生士。自然食品のお店で働いた経験から、食と体のことを考えるようになりました。
小学生の子ども2人を育てながら、料理が得意ではない自分でも続けられる「選び方」を探しています。
こけももは、福岡県柳川市新外町の自然食品店です。オンラインショップでも商品をご覧いただけます。
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