こけもも NATURAL SELECT SHOP こけもも

作り手のこと

「産土」という名前 ― その土地でしかできないということ

「産土」という名前 ― その土地でしかできないということ

熊本県和水町の花の香酒造さんがつくる日本酒「産土」。ここまで、お米のこと、ラベルのこと、つくり方のことを書いてきました。最後に、この名前について書きたいと思います。

「産土」と書いて、うぶすなと読みます。

古い言葉で、生まれた土地その土地の神さま、そしてものを産み出す母なる存在といった意味があるそうです。名前を知ったとき、この蔵が何を大事にしているのかが、名前そのものに込められていると感じました。

蔵の掲げる考え方は、はっきりしています。生まれた土地で、土着の環境と文化を守りながら、ここにしかない酒をつくる

だから、使う米は菊池川流域・和水地区で育てられたものだけ。仕込み水は阿蘇山系の湧水。発酵に関わる菌は、蔵に棲みついているもの。栽培は肥料に頼らず、仕込みは木桶と生酛。どれかひとつを他所のものに置き換えたら、もう同じ酒にはなりません。

その土地でしか、できない。

これは制約のようでいて、実はいちばんの強みなのだと思います。どこでもつくれるものは、どこでも買えます。でも、その土地でしかできないものは、そこにしかない。

この考え方に、私はずっと惹かれてきました。そして自分の店のことを考えるとき、いつもここに戻ってきます。

なぜ柳川なのか。なぜこの場所で、店をひらこうとしているのか。

大きな街に出れば、お客さまはもっと多いかもしれません。仕入れも、情報も、もっと集まりやすいかもしれません。それでも私は、この土地で店をやりたいと思っています。

水路がめぐり、隣町には300年続く酢の蔵があり、少し足をのばせば無農薬の畑や、在来種の米を復活させた蔵がある。この土地には、この土地の食のつながりがあります。その中に自分の店を置きたい。この土地でしかできない店を、つくりたいのだと思います。

まだ何もできていません。改装もこれから、資金のことも、これから考えなければいけないことばかりです。それでも、向かう方向だけは、はっきりしています。

「産土」という名前に、そのことを教えてもらった気がしています。

※20歳未満の方の飲酒は法律で禁止されています。


こけもも店主 石本由貴

この記事を書いた人

石本 由貴natural select shop こけもも 店主

福岡県柳川市で、自然食品店「こけもも」の開業を準備しています。
元・歯科衛生士。自然食品のお店で働いた経験から、食と体のことを考えるようになりました。
小学生の子ども2人を育てながら、料理が得意ではない自分でも続けられる「選び方」を探しています。

こけももは、福岡県柳川市新外町の自然食品店です。オンラインショップでも商品をご覧いただけます。

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