作り手のこと
ラベルを見なくていい日があってもいい ― 秋川牧園の冷凍食品のこと
正直なところから書きます。わが家は、冷凍食品を使います。
夕方になって、もう何も作りたくない日があります。子どもたちはお腹を空かせていて、こちらは気力が残っていない。そういう日に、冷凍庫にあるものは本当にありがたい。
ただ、そのたびに少しだけ後ろめたさがあります。
私はふだん、原材料表示を見る癖があります。「/」から後ろが添加物なので、そこを確かめてから買う。それが習慣になっています。
でも、疲れている日は、それすら見たくないのです。見たら買えなくなるから、見ない。そういう買い方をしている自分に、うっすら嫌気がさすこともあります。
だから、ある会社のこの一文を読んだとき、少し救われた気持ちになりました。
「商品ラベルを確かめなくても安心して召し上がっていただける」
山口県の秋川牧園(あきかわぼくえん)さんが、冷凍食品について書かれていた言葉です。
ラベルを見なくてもいい。それは、見なくてもいいところまで、つくり手がやってくれているということです。
どういう会社なのかを調べていて、始まりの話に手が止まりました。
創業は1972年。現在の会長にあたる方が、養鶏から始められたそうです。大学で化学を学んだ方で、残留農薬や化学物質が体の中に溜まっていくことに着目し、「残留農薬のない卵をつくろう」と考えたのがきっかけだといいます。
1972年です。まだ食の安全を口にする人が、ほとんどいなかった時代です。
そこから、体に入る化学物質をどう減らすかに取り組み続けてこられました。薬を使わずに鶏を育てる方法を探し、収穫後に農薬をかけられていないとうもろこしを求めて、アメリカ中の農場を訪ね歩いたこともあるそうです。
いま、鶏はヒヨコのときから抗生物質も抗菌剤も与えずに育てられています。飼料は肉骨粉などを含まない植物性が主体で、鶏舎は日光と風が入る開放型。育てているのは、山口・福岡・熊本・大分にある16の農場だそうです。
九州にも農場があると知って、少し近く感じました。
そして冷凍食品です。
アミノ酸をはじめとした食品添加物を使わず、家庭にあるような調味料を自社で配合してつくられています。副原料も、加工されたものを買うのではなく素材のまま仕入れて自分たちで配合する。そうすることで、添加物が知らないうちに混ざることを防いでいるそうです。
小麦は国産。塩は沖縄の平釜塩。菜種油は遺伝子組み換えの混入を防ぐ管理をした圧搾のものを100%。
自社の工場で加工して、マイナス32度で急速に凍らせる。15分ほどで凍るのだそうです。
ここまでやったうえでの、「ラベルを確かめなくても」なのだと思いました。
私は、冷凍食品を悪いものだとは思っていません。手を抜くことも、悪いことだとは思いません。
ただ、手を抜く日にこそ、安心できるものを選びたい。元気な日は自分で選べますが、しんどい日は選べないからです。そういう日のための冷凍庫があるといい。
料理が得意ではない私にとって、これは理想に近い形です。がんばらなくても、そこそこいいものが食べられる。それを可能にしてくれるのは、結局のところ素材と、つくり手なのだと思います。
まだ扱えていませんが、店をひらいたら並べたいもののひとつです。
冷凍庫を開けて、何も考えずに手に取れる。そういう棚をつくりたいと思っています。
この記事を書いた人
石本 由貴natural select shop こけもも 店主
福岡県柳川市で、自然食品店「こけもも」の開業を準備しています。
元・歯科衛生士。自然食品のお店で働いた経験から、食と体のことを考えるようになりました。
小学生の子ども2人を育てながら、料理が得意ではない自分でも続けられる「選び方」を探しています。
こけももは、福岡県柳川市新外町の自然食品店です。オンラインショップでも商品をご覧いただけます。
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